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<コラム>大阪「点字毎日」訪問

2025年5月24・25日に開催された「ArtBookOsaka(アートブック大阪)」に出展するため、大阪市へ行きました。

私が訪れたのは、主に大阪市内の都市部エリアで熊本より人も車も多いはずなのに、破損した点字ブロックを見かけませんでした。

いくつかひび割れているものはありましたが、思いのほか点字ブロックがきちんと整備されていました。

車社会の地方とは違って、都会のほうが交通インフラが整っているからでしょうか。

大阪南港から駅までの連絡通路の点字ブロック。

こういう「モノをおかないで!」ステッカーも熊本では見かけません。

大阪ならではなのかも?

 点字毎日(毎日新聞ビル)は大阪市北区梅田という一等地にあり、梅田駅から長くて巨大な地下通路を通って行きました。

地下通路にも点字ブロック設置されていて、白杖をついた視覚障がい者が2人歩いて通勤されていました。

 「点字ブロックは目の不自由な人が使うものです。物を置いてふさがないで」と声高に言うよりなにより、この景色が日常にあるということが、一番説得力があるな、と思いました。

 

点字毎日は、毎日新聞ビル内の16階に編集部、地下に印刷製本室があります。

貴重な印刷製本の作業を見学させていただきました。普段は4人のスタッフで作業されているそうです。

原稿の文字(凸凹)がされた金型を2枚セットし、輪転機で巨大なロール紙をはさんで点字を作ります。

ページ数分の用紙を順番にまとめて1冊の冊子にします。

ホチキス留めする機械にセットする作業、点字の凸をつぶさないよう用紙を半分に折り曲げる作業は、なんと手作業とのこと!

ここで制作した冊子が、全国の盲学校や点字図書館に送られるそうです。

<コラム>点字で語る小泉八雲の世界                

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン/1850年~1904年)は、明治時代に活躍した文筆家です。

彼は、ブレイルフレンドの活動拠点である熊本県に住んでいたことがあり、彼の著書をモチーフにした作品がいくつかあります。

あまり知られていませんが、小泉八雲は若いころ左目を失明し、もう片方の目も衰え、物が見えにくかったそうです。

残っている彼の写真は、左目を隠すように右側から撮ったものばかりです。

「点字」とは直接の関係はありませんが、視覚障害に関心を持ってもらう題材として取り上げています。

 

「When The Saints Go Marching In」(聖者の行進)             

小泉八雲は、来日する前はアメリカの新聞社で働いていました。

シンシナティ(オハイオ州)では、黒人の女性と結婚していました。

その後ニューオーリンズに転居するときに離婚しますが、当時のオハイオ州では黒人と結婚することは違法だったそうです。

現在でも人種差別の問題は根深く残っていますし、周囲の反対や偏見は相当なものがあったでしょう。

 

ニューオーリンズでは、黒人が亡くなったとき「When The Saints Go Marching In」(聖者の行進)という曲をお葬式のパレードで演奏する習わしがあります。 

もともとはクリスマスソングなのですが、教会での葬式の帰り道に「天国へ召されてよかったな」とお祝いをするそうです。

黒人がどれだけ迫害されていたかが、音楽にも反映されています。

離婚したとはいえ、黒人の女性と結婚していた小泉八雲は、どんな気持ちでこの曲を聞いたのでしょう。

「When The Saints Go Marching In」

(聖者の行進)

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

小泉八雲は、来日以前から世界中を転々とし過ごしていました。

アイルランド・フランス・アメリカ・西インド諸島、そして日本。

来日してからも松江(島根)・熊本・神戸・東京と転居を繰り返しました。

松江では、「八雲」の名前の由来となる

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

という歌と出会います。

(島根は古くは「出雲の国」とよばれ、島根で結婚した妻のセツさんは出雲大社の宮司の遠縁にあたる人でした。)             

この歌は、日本で最も古い歌のひとつで、「スサノオノミコト」という神様が詠んだとされています。

「古事記」によると、スサノオノミコトは天上の国(高天原)を追放され、出雲の国(島根県)にたどり着きます。

そこでヤマタノオロチという怪物を退治して、土地の女性と結婚します。

来日以前に黒人の女性と結婚していた八雲にとっては、アジア人を妻とすることに躊躇いはなかったでしょう。

スサノオノミコトが、妻を得てこれから出雲を新天地として生きていこうというときに詠んだ歌です。

同じ流転の身であるスサノオノミコトに通じるものを感じたのでしょう。

 

ところで、黒人やアジア人の女性と結婚することは、当時の白人社会では到底受け入れられないものだったでしょう。

小泉八雲はなぜそんなことができたのか?

あまり目が見えなかった彼にとって、肌の色など見た目はさほど重要ではなかったのかもしれません。

彼自身も、片目が見えないことで周囲から差別や中傷されることがあったのかもしれません。

いずれにしても、左目を失明していたことが彼独自の世界観や生き方に大きな影響を及ぼしていると思います。

「耳なし芳一」(怪談)

 小泉八雲の「怪談」の中に「耳なし芳一」という物語があります。

主人公の芳一は平家が滅亡した壇ノ浦の近くに住む盲目の琵琶法師です。

平家の亡霊の求めに従い、「平家物語」を奏でます。芳一は目が見えないので、声の主が亡霊であることに気付かないのです。

「平家物語」で語られるテーマは「諸行無常」で、すべてのものごとは移り変わるということです。

そして、長く語り継ぐことで、幼くして海で亡くなった安徳天皇はじめ平家の人々の魂を鎮めています。

 

「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

  沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

  驕れる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し

  猛きものもついには滅びぬ ひとえに風の前の塵に同じ」

 

さて、お経を書き忘れたために耳を亡霊に引きちぎられてしまった芳一のその後ですが、琵琶法師として大成したとのこと。

何が幸いするか災いするか、人生はわからないもの。「諸行無常」です。

 

小泉八雲は熊本に住んでいた間、宇城市の世界遺産「三角西港」の浦島屋に立ち寄ったエピソードを、紀行文「夏の日の夢」の中で残しています。

 浦島屋は当時は旅館で、女将さんや中居(女中)の対応が素晴らしかったこと。

 人力車に乗って海沿いの景色を堪能しながら熊本市の自宅に帰ったこと。

 「浦島」という名前から浦島太郎が行った竜宮城について思考を巡らせる記述もあります。

 

ブレイルフレンドでは、2019年から毎年浦島屋で作品展を開催しています。

作品展の企画として、琵琶奏者をゲストにお招きし「琵琶で語る小泉八雲の世界」という演奏会を行っています。

(現在の浦島屋は平成になってから復元されたもので、休憩所として解放されています)

 

 

三角西港「浦島屋」からの景色。

琵琶で語る小泉八雲と平家物語の世界

「耳なし芳一」の主人公芳一は盲目の琵琶法師です。

昔は、盲目の人が出来る仕事は限られていて、按摩(鍼灸や指圧などマッサージ)か、家々を回りお祓いや祝いの席で琵琶を演奏して収入を得ることでした。

その琵琶法師たちが演奏していた演目のひとつが「平家物語」です。

そして熊本には「天草本平家物語」があります。

熊本県天草地域では、16世紀にキリスト教と西洋の文化が伝来しますが、西洋に日本文化を紹介する教材としてローマ字で書かれ、活版印刷で作られた天草独自の「平家物語」です。(逆に、西洋の文化を日本に紹介する教材として「イソップ物語」が使われました。)

 

天草では、島原の乱(島原・天草一揆)などを経て禁教の時代を迎えますが、隠れキリシタンなどが信仰を守り続けていました。活版印刷はキリシタンの聖書を作ることに活躍します。

ブレイルフレンドでは、天草で工房を構える九州活版印刷所さんの印刷機を使用させていただき、ポストカードを制作販売しています。

また、「琵琶で語る天草ん民話」という演奏会を行っています。

 

■「ブレイルフレンドコンサート特別編 八雲と虫の話と語り」

2023年3月5日(日)14:00~16:00

熊本市現代美術館アートロフト

入場料 500円

<コラム>熊本県ってどんなところ?

ブレイルフレンドリープロジェクトが拠点としている熊本県の魅力を、これまでの活動と交えながら紹介します。

新町古町地区(熊本市中央区)

2021年に、「新町五感散歩」という企画で、古町エリアのPR動画を制作しました。

新町古町地区は、熊本城近くの古い町並みが残る「城下町」エリアです。

(「古町」という地名はなく、16町の総称です)

動画を制作するにあたって、試しに「こうやあみだじまち、ひがしあみだじまち、にしあみだじまち…」と16の町名を声に出して読み上げたら、語感がよかったので早口言葉にしてみました。

普段「点字」を扱っているので、映像がなくても(音声だけで)成立するものになったのも個人的には良かったポイントです。

ちなみに映像では、16の町すべて実際に足を運び、写真を撮ってきました。

90分程度のウォーキングにちょうど良くて、「古町の町名を16個全部言える」「16町全部コンプリートした」という達成感が味わえました。

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